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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

お金は「信用」の上に循環する、そしてきっかけは「情報交換」 | お金の正しい守り方3

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Hand-shake

 

 

(お金の正しい守り方 第3回)

 

 

 

 

 

 

 

金融とはお金を融通し合うことです。お金を持っている人が必要としている人と「信用」によってつながりお金が循環します。

 

そして人と人との間にお金が登場するきっかけになるのが「情報交換」で、情報の価値こそが、「信用」の質を決定する要素になります。

 

 

1.  金融とはお金を融通しあうこと

 

若くて駆け出しのころは、誰もが名もなく、貧しいものです。はじめから有名でお金があるわけがありません。自分でお金を作るといっても、稼いでコツコツ貯めても大きな額に達するには時間がかかるし、キャリアが浅い時の稼ぎでは、切り詰めて生活しても、限界があります。

 

そんなとき、お金を持った人に才能・才覚を見いだされ、投資してもらえなければ、若い人がすぐにまとまったお金を手にすることは難しいでしょう。

 

最初に才能を見いだして助けてくれるのは両親かもしれないし、バイト先の先輩、あるいは会社の上司かもしれません。

 

そして、仮に助けてくれた人のおかげで、志を貫くことが出来たとします。少し成功して、舞台に上がる。そうなると付き合う人たちも、入ってくる情報も以前とは一段ちがってきます。そして、今度はその人本人が目利きになって自分より若い人を助けるのと同時に、よりよい情報ソースを求めてさらなる人脈形成に励む事になります。

 

事業で成功する人のパターンを見ると、まず支援者のネットワークができて、その上に資金が流れてきます。そうして、人間関係ができてから、お金が人と人との間をどんどん流れることでビジネスの関係が生まれます。

 

金融とはお金を融通し合うことです。お金を持っている人から必要としている人へお金を動かす仕組みなのです。

 

金融の本質とは、お金を必要とする人と投資をしたい人が 「信用」によってつながり、資本関係を通してビジネスを広げていくプロセスに見て取れます。お金は触媒のように人と人を結びつけ、その関係を有機的に発展させるのです。

 

そして、人と人との間にお金が登場するきっかけになるのが「情報交換」で、情報の価値こそが信用の質を決定する重要な要素になります。

 

 

2.   「情報交換」でお金を生み出す仕組み

 

お金を持っている人同士は、情報交換を通して新たな投資先の情報を得て、さらに新しいお金にアクセスしていきます。

 

例えば、ある人(投資家)が実業家の才能をみいだし、投資してくれることになったとしましょう。投資家はおそらく投資する事を、自分の仲間や信頼筋に話し、情報を共有する可能性が高いです。仲間同士で評価を確かめ合う意味もあるし、リスクを分散するためでもあります。

 

その場合、仲間の中には、実業家についての情報を価値あるものと考える人がいるかも知れない。価値ある情報交換に人は集まってくるし、お金も集まってくるのです。

 

世の中、お金を持っている人同士が情報を交換し合い、その情報がお金を生み出していく仕組みが出来上がっているのです。

 

 

3.   本当に価値ある情報はリアルな人脈でしか得られない

 

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Harvard Club by Allegro Photography

 

ニューヨークに暮らしてわかったのは、実は米国が限られた人たちだけで構成されるいくつもの「社会」から成り立っているという実態です。

その中でも、例えばユダヤ系やアングロサクソン系、華僑系などの系列によって資金循環の仕組みが形成されています。

 

ウォール街の投資銀行で成功し、財を築いた人々はメトロポリタン・オペラやカーネギーホール、メトロポリタン美術館などの芸術振興の理事に名を連ね、名誉職を得るとともにお互いに情報交換の場に芸術の場を利用します。米国の権力の中枢はいぜんウォール街にあり、権力は美や芸術を交渉の隠れ蓑に使っています。

 

また、マンハッタンには多くのプライベート・クラブがあります。出身大学の同窓生が集まるクラブ、宗派によるクラブ、政治信条を揚げるクラブなど様々です。たいていのクラブは古いタウンハウスなど独立した建物で、表に大きな看板があるわけではなくひっそりとしています。

 

各クラブにはダイニング ・ルームやセミナー用会議室、図書室、宿泊施設、ジムが備えてあり、プライベート・クラブ・ライフはじつに快適です。彼らはこうした私的な環境で仲間達とつねに情報交換を行い、価値ある情報をいち早く得ようと努力しています。

 

今の世の中は情報で溢れています。インターネットのおかげで必要な検索は簡単にできるようになりました。そんな中でどのように価値ある情報をみわけるのか?多くの情報は公的で誰もがアクセスできます。その結果、すでにニュースで伝えられているような情報は多くの人に見られ、使い古されています。

 

本当に価値あるリアルタイムの情報は、直接のコミュニケーションでしか入ってきません。そうした質の高い情報をキャッチするためには、質の高いコミュニケーションの場に参加していなくてはなりません。さらに、自分からも情報を発信しなければ人はこちらへやってきてくれない。仲間に分け与える情報の質と価値が己の人脈の質を決定することになるのです。

 

こうして、優れた情報網(=ネットワーク)は質の高い人脈とともにもたらされます。優れたネットワークの構築とメンテナンスにはお金も時間もかかります。いくつものクラブの会員として活動し、仲間のために汗をかいて信頼を得ていくには相当の努力が必要です。こうした努力の結果、かけがえのないネットワークが構築でき、ネットワーク自体がどんどん価値を生み出すようになるのです。

 

 


 

 

前回は

お金の正しい守り方 第2回:10年後のあなたの個人資産は大丈夫? 家族と自分を守る資産設計

をお届けしました。お見逃しのかたはどうぞご参照ください。

 

 

次回は

“お金の正しい守り方 第4回:投資リスクの軽減を目指した運営技術としてヘッジファンドは生まれた”

をお届けします。ご期待ください。

 

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