QE(量的緩和)の効果が見える米国・英国、道半ばの欧州・日本。

公開日: : 大井リポート | 

年明け最初の一ヶ月が波乱含みで過ぎ、チャイニーズ・ニューイヤー(旧正月)が明けると、今年のトレンドが本格的に見えてくると思われる。それは、量的緩和策(QE)をいつまでどの程度まで続ければ実体的な経済が持続的な成長モードに入るのかに見切りをつけることに他ならない。QEで国債を始め債券購入を実施し、超低金利を誘導したおかげで、株価は上昇したが、実質的にGDPをどのくらい押し上げたかは検証できていない。特に、ECBと日銀は、経済成長率を上回るペースでマネー供給を実施し、株式市場を浮上させた。しかし、デフレ脱却はまだ道半ばである。

機関投資家の観点からみると、デフレ懸念のおかげで、これまでは日本国債などの長期ソブリン債への投資収益が順調であった。しかし、既にドイツ国債30年物の金利が1%を割り、また各国中央銀行が債券購入を続けるため、日本の機関投資家にとっては、4月からの新年度では、日本国債へのリスクが高まり、債券運用でさらなる利益を確保することが難しくなるだろう。債券から株式やその他のリスク資産へ投資をシフトせざるを得ない。今後は株式市場でボラティリティ(変動幅)が増幅し、リスクは上昇傾向にある。

一方、米国と英国に関しては、QEがインフレに効き目があるようにみえる。英国中央銀行のカーニー総裁は、インフレ・ターゲット2%を掲げ、また、FRBも強気にみえる。FRBは先週の政策決定会議で、景気回復が「穏やかなペースで」から「しっかりしたペースで」進んでいると文言を変え、また、ゼロ金利解除のタイミングについても以前の「相当期間は忍耐強く見守る」との文言から「相当期間」という言葉を排除した。ただし、FRBは今後5年のインフレ率を1.8%と予想しており、ターゲットの2%に届くような水準にはない。それでもなお、FRB内では、経済は強く、早めの利上げというタカ派の声が聞かれる。ゼロ金利解除は、金融政策の正常化を象徴する「シンボリックなアクション」となるだろう。

米国が強気な理由のひとつが原油安である。米国のGDPの7割を占める個人消費にとって原油安は大きなプラスである。また、米企業の一株当りの収益も堅調である。ドルへの資金流入とドル高、原油安、コモディティ安といったトレンドがセットされてはいるが、このところ、原油下落のペースが以前よりも穏やかになっている。「底はまだ」かもしれないが、急激な原油下落リスクよりはむしろ、ウクライナ情勢や中東情勢いかんでは、今後、何か大きな衝撃が米株高を崩すリスクもある。特に、ヨルダン空軍パイロットの惨殺のニュースなど、「イスラム国」をめぐる紛争には終わりがみえない。

これまで、過去7ヶ月にわたり、原油価格が50%近く下落したことで、産油国のロシア、イラン、ベネズエラ、そして、イラクやノルウェーから、輸入国である中国、韓国、日本へ約1.5兆ドル相当が移転した。中国は、この機にギリシャ救済を名目にユーロ圏、地中海へ進出し、東アフリカへの海上勢力拡大を狙うものとみられる。地政学リスク動向と中国の動きを見守る必要がある。

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